The Hive and Barrow - お野菜(不定期入荷) -

*お野菜(不定期入荷):"その時"のおいしいお野菜を、仕入れた分だけ限定でのご提供となります。毎日ご用意できないことを予めご了承ください。

イギリス人のフィル・ギブスさんと、石神貴子さんのご夫婦は2010年に日本へ移住しました。匝瑳市小高の山を自力で開墾し、農園"The Hive and Barrow"を開業。30種類の西洋野菜を中心に年間50種類の野菜を育てています。大手企業からの脱サラ、農業への転換と日本への移住、目指すべき姿:地域・自然との共存共栄。「最終的には食べ物に対する固定概念を壊していきたいんです」とは石神さん。いままでとこれからのお話、お伺いしました。


フィル・ギブスさん(左)石神貴子さん(右) ©️The Hive and Barrow

行き当たりばったりな二人

生まれは銚子です。最初にイギリスに渡ったのは18歳の頃でした。留学すれば最悪でも英語は身に付くし、今の自分を見直したいと渡英しました。結局「遊んだほうが英語を覚えるから」という考えでどんどん遊んでいたら、1年でお金が底をつきました...。親からも強制送還。日本に帰国して半年後、ベルギーの音楽祭に参加した友人バンドのお手伝いで欧州に行ったついでにロンドンで出会ったのが後の旦那さま、フィルでした。いまから20年前です。お金がなかったので無料で泊まれる場所を探していたところ、友人がフィルを紹介してくれたんです。


留学当時の石神さん©️The Hive and Barrow

1週間のイギリス滞在が終わり日本に帰国しました。でもロンドンでの自由さが忘れられず、また行こうと決めました。そして再びフィルと連絡を取り始めたんです。昔から、思いついたらすぐ行動の性格なので、なんとかなるさと20万円くらいを手にして、すぐにイギリスに旅立ちました。お金は無いけどフィルもいるし、気が大きくなっていたんです。若さって怖いですよね。それからしばらく住むことになるんですが、一番長く続いたアルバイトがイタリアン・カフェでした。料理して、配膳して、人と出会ってっていう、飲食の仕事がやっぱり楽しかったんですよね。


フィルとお付き合いしながらのイギリス暮らしも4年が経過し、そろそろビザも切れる、結婚しないとフルタイムで働けない、どうするの?って事で結婚することにしたんです。25歳のときかな。いま40歳だから、15年前ですね。


日本での結婚式は香取神宮で©️The Hive and Barrow

結婚当時、フィルは自由業みたいな仕事でした。例えば庭を整備してと依頼があれば出向いて作業するというような仕事で、依頼されれば何でもこなしていました。もともとフィルは、自分で立ち上げたITの会社を経営していましたが、それに疲れて会社をたたみ、バックパッキングで世界旅行にハマったんです。アフガニスタンにも行ったそうです 笑。だから職種に興味はなく「お金を稼げれば仕事は何でもいい」という人でした。


でもそれだと日本の親は結婚を許さないですよね。そしたらフィルは「じゃぁもう一回IT関係の仕事に戻るよ」と決意してくれたんです。でもIT業界って時代の流れが早いので、昔の情報だと仕事にならないんですよ。だから1年間、世界最大のコンピュータネットワーク機器開発会社が運営する学校で勉強をしました。一応、首席で卒業することができたので、就職先もすぐに見つかり、ようやく両親も結婚を許してくれました。

バックパッカーの頃のフィルさん©️The Hive and Barrow
キャリアな妻、疲弊した夫

結婚後、わたしは食品卸の会社で働いていました。醤油や味噌などの日本食材を仕入れてヨーロッパやロンドンの飲食店に卸す会社で、わたしはレストランに営業をするお仕事でした。一人で150件くらい担当して、新規開拓も精力的に行いました。そんなとき、開拓先の社長さんがわたしのことを気に入っていただいて、転職のお誘いを受けました。1年くらい何度も断り続けていたら「自分の好きな仕事やっていいからうちの会社に来てくれ」ってことまで言っていただいて、最終的にはそこへ転職したんです。

イギリスにて©️The Hive and Barrow

転職先は当時、ロンドン市内で30店舗あった寿司チェーン店でした。とても楽しかったです。購買(バイヤー)と商品開発など、まさに自分の好きな仕事をさせてもらいました。お店で使う全ての食材を決める権限をもらい、値段交渉はもちろん、商品開発では食材調達からマーケティング、機械選定からレシピ作りまで、チームを組んで全部やっていました。がんばった結果もついてきたから本当に楽しかったです。

IT時代のフィルさん©️The Hive and Barrow

一方その頃、インターネットの大手セキュリティ会社で働いていたフィルは疲れきっていました。長時間労働、毎日同じ作業の繰り返しで変化のない退屈な生活を送っていたある日、フィルが打ち明けたんです。「転職したい。日本で農業がやりたい」と。


それはそれは揉めましたよ。「わたしは好きな仕事に就けたばかりだし生活も充実している。なんでそれを諦めて農業なのよ」って。でもフィルはそれを1年半、わたしに訴え続けたんです。


日に日にやつれていく夫を見るのも辛くなり、ついに私も心を決めました。元々自然は大好きでした。休みの日にはイギリスの田舎の農家を巡ったりもしていたので、いっちょ乗ってみるかと。フィルの夢を一緒に見るのもいいのかもって。そして2010年、ふたりと猫3匹で日本に移住しました。

農園 ©️The Hive and Barrow
地域との共存を目指して

いまは農業を主体としていますが、私たちが日本で本来やりたかったことは、養豚だったんです。しかも自然のサイクルを壊さない、豚を豚舎に入れない「放し飼い養豚」でした。そのために必要な知識やコースをイギリスで受けてから移住したため、日本到着後すぐに養豚を行うための土地を探し始めました。頭数制限をして、自然の中で成長してもらう。きちんと人生を(豚生?)送ってもらう。そこを目指した養豚をやりたかったんです。


養豚を行う土地も決まり(今とはまったく違う場所です)、いよいよと準備をしていたんですが、周辺の村民の方々から反対をされ、了解は得られませんでした。でも考えてみたらあたりまえなんです。放し飼い養豚という訳のわからないスタイルを、いきなり来た外国人がやろうとするんですから。バランスよく飼っていれば臭いが出ないという事をどんなに説明した所で、地域に理解されなければ叶わないこと、とても勉強になりました。


「場所を変えたとしても、養豚で理解を得るのは難しい。まして放し飼いなんて」という考えから、わたしたちは養豚を諦めて農業へシフトしました。土地探しは振り出しに戻り、色々な土地を見て歩き、たまたま訪れたのが現在の場所です。外国人である以上、私達が地域の方のストレスにならない様にするにはどうすればいいかと、自分達なりに考えました。

©️The Hive and Barrow

その結果、山を開拓しているところ、鶏を入れるところ、鶏の頭数を制限しているところ、匂いがでていないところ、できることをゆっくり広げていきました。世間では外国人が土地を買って珍しいことをやるというだけで反対されることも多い中で、この地域の方々は本当に寛容でした。地域の行事にも参加させて頂いたり、道で会えば皆さん声をかけてくれたり、「朝、鶏がコケコッコーって鳴くのが懐かしい」って言ってくれたりもするんですよ。嬉しかったです。


©️The Hive and Barrow
DIYで山を開墾 - "土を変える"ということ

移住当初、この場所は山でした。ユンボや重機を使って、自分たちで"山を切り崩して"平らにしました。家を建てるのも自分でデザインしてエコハウスに。とにかくできることは自分たちで、2ヶ月間でやりきりました。


開拓当時©️The Hive and Barrow

開拓当時©️The Hive and Barrow

開拓当時©️The Hive and Barrow

でも最初は作物が採れなくて本当に大変でした。ここは杉やヒノキが生える"山"なので、畑の様に作物が育つ"土"ではないんです。そのため、根っこが土にいろいろな経験をさせるために、とにかくいろいろな作物を植えました。それと同時にわたしたちも、土と共に経験を積むところから、じっくり始めました。いまは年間通して50種類ほどの野菜を作っていますが、当初は80種類くらい作ってました。

開拓当時©️The Hive and Barrow

©️The Hive and Barrow

©️The Hive and Barrow

また、当時は収穫した野菜の売り先もなかったため、多い時では年間120の屋外イベントに出店していました。そんな時期にテレビ取材があり、私たちの大きな宣伝となりました。本当にありがたかったです。


イベント出店の様子©️The Hive and Barrow
自然のサイクルに入れさせて貰う

「自然のサイクルを壊さない」この思いは昔よりもいまのほうが強くなっています。この自然の中で暮らしていると、細菌の活動から虫の交配、受粉や捕食などの生態系すべてが活発に動いているのを感じます。その中にいると人間って小さいなぁと感じる反面、この自然を出来るだけ壊さないように暮らさなければと、以前より強く思うようになりました。


余程のことがない限り、野生の動植物には手を加えません。ここには狸やイタチ、アナグマ、フクロウなどの野生動物がたくさんいて、彼らはわたしたちよりもこの土地の大先輩です。この土地をお金で購買しましたが、それは人間が勝手に決めたこと。だから、あとから入ってきた私達が勝手に巾を効かせることなんておかしいんです。必要な部分を必要な時にちょこっとお借りして、そのほかは彼らが自由に使う。そこを理解すると、彼らと共存していける道に繋がるのかもしれないです。


カマキリやてんとう虫、あと名前はわからないけど色々な種類の"ヒーローバグズ"(バグズ=虫)と呼んでいる虫たちは、私たちの大切なスタッフです。ソルジャーフライやスズメバチや蜘蛛、カラスにヘビにモグラ、みんな各々、野菜を作る上で大切な役割を果たしてくれます。そんな彼らが住める草原(草を刈ってないだけに見えますが。)もまた大事。未だに蚊だけはちょっと。。ブレイクスルー出来ないですが...。笑



©️The Hive and Barrow



農業を行う上で、世間ではさまざまな農法や認証がありますが、ハイバロ(The Hive and Barrowを略して)としては特にどれかに依存する気はありません。私たちの場所で起こりうる様々な現象の全てが、ある一定の枠内に収まるとは思わないし、認証を取るにはお金も沢山かかります。私たちみたいな小さな農家では難しいんです。でも、もし山ではなくて、農地を再利用をしていたら、今とはもっと違うお野菜になっていたかも... ってたまに一瞬だけ後悔するときもありますけどね 笑。


©️The Hive and Barrow

加工品で壊していきたい固定観念

うちの野菜は、人参や玉ねぎのような普段使いの野菜ではありません。お客様からしてみたら、冷蔵庫に無くてもいいものなんです。だからこそ、うちのお野菜のファンでいてくれたり、食に興味のある人だったり、何か日常から離れてチャレンジしたいっていうお客様は大切にしたいです。普段使いではないお野菜と向き合ってもらえることは本当に嬉しいです。


バターナッツかぼちゃ、UFOズッキーニ、スネイクビーン、黒キャベツ、トロンボンチーノ...なかなか馴染みのない30種類の西洋野菜を中心に、本当に自由な放し飼い鶏のたまごも販売しています。お野菜は見た目重視の手入れはほとんどしません。生態系を壊さないように、自然の摂理と共に栽培し、収穫時期は焦らず、熟して味がのった美味しい時に収穫しています。そのため、普通に見る形じゃないときもあるし、大きさもバラバラです。


©️The Hive and Barrow

©️The Hive and Barrow

©️The Hive and Barrow

©️The Hive and Barrow

©️The Hive and Barrow

あとは珍しいからこそ、正しい調理方法を伝えることも必要だと思っています。例えば西洋カボチャの場合、普通のカボチャのように炊いてしまうと美味しくありません。私たちは正しい調理方法を提案するという意味を込めて、珍しい西洋野菜を加工した商品も販売しています。どんどん新しい調理方法にチャレンジしてもらいたいし、自分なりの調理もして貰いたい。そして最終的には野菜や調理方法に対する固定概念を壊していきたいという思いがあります。人参や玉ねぎはこうじゃなきゃいけないって誰が決めたの?って。いいじゃん、冷凍して食べたら美味しかったとか、玉ねぎアイスにしてみたら臭すぎてムリ!とか。笑。でもその感覚がとても大事になるのかなって。自分の五感を使って選んで調理するって忘れちゃいけない部分じゃないかなって思います。


そんな意味が込められた加工品は、下ごしらえなど長いもので3日以上かかるものもあります。そしてお客様がアレンジしやすいように、味付けはできるだけシンプルにしています。そのままでも召し上がれますが、お客さまがアレンジを加えて、ハイバロの商品として完成させて欲しいという想いが根本にあるんです。やっぱりイギリス時代の商品開発の気質なんでしょうね。畑にでるとやりたいことがどんどん湧いてきます。失敗も多いですが、そのなかでも、まずは私たちが満足したお野菜・加工品を販売しています。

©️The Hive and Barrow

©️The Hive and Barrow

©️The Hive and Barrow

©️The Hive and Barrow

©️The Hive and Barrow
30年後の理想のために

ワンクリックで欲しい物が手に入る世の中、多くの人が人間の本能を失いかけている気がします。2D(画面)の世界で見るものと、3D(実物)の世界で見るものって結構違ったりして。理想と現実ですよね。だから不満も出る。お野菜にしても勿論そうで。自分で作るとそれが良くわかってくるんです。こういう野菜もアリなんじゃないかという、違った方向から見るというのが1つの選択肢になってくれたらなと思うことがあります。


理想の中で生きる現実って良く言うんですが、今がまさにそうです。一見、理想と呼ばれる生活なんでしょうが、実際は沢山の事案に囲まれて生きているのが現実です。でもハイバロの作るお野菜や加工品のファンになってくれる強者の皆さんとの繋がりがあるからこそ、現実に生きる大変さを乗り越えていけている気がします。

©️The Hive and Barrow

©️The Hive and Barrow

©️The Hive and Barrow

当初は「30年後に、理想としている野菜ができたらいいね」と、30年先を見越して始めました。この7年だけでも紆余曲折ありましたが、どうにかやっています。たとえ思うような野菜ができなくても、その野菜なりの食べ方を開発して提案しています。だからこれから先も、理想を追いすぎず、なんとかなるって思っています。


30年後の理想の野菜のために、自然の力を借りながら、まずは自分たちでできるところから始めていきたいです。

The Hive and Barrow

(ザ・ハイヴ・アンド・バロウ)

フィル・ギブス / 石神貴子

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*販売場所:カフェPlaughman成田屋旭萬力店道の駅 風和里しばやまのほか、週末を中心に 柏タカシマヤAKOMEYA新宿・銀座・神楽坂などでお野菜・加工品を販売中。詳しくはインスタグラムやフェイスブックにて。

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 千葉県旭市ニ6016-7

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